自立、自助の精神こそ原動力 法律や制度だけでは、国は変わらない
「天は自ら助けるものを助く」という有名な格言で始まる、19世紀英国の古典的な名著。自立、自助の精神こそ、人間を日々、進歩させる原動力であるとし、「法律を変え、制度をつくるだけでは、国家は変わらない。国民の心が変わらなければ、国の変革も功を奏さない」―と、語りかけている。
貧困や困難と戦い、発明や発見、芸術の創造、新事業に成功した人の生き方、仕事ぶりが、生き生きと語られ、学校時代には成績の芳しくなかったニュートンやワット、目立たない生徒だったナポレオンといった興味深いエピソードが、ふんだんにちりばめられ、読む者をあきさせない。
日本では明治4年(1871年)、中村敬宇訳により『西国立志編』として出版され、福沢諭吉の『西洋事情』と並ぶ空前のベストセラーとなった。維新の新時代に身構える青年たちに、自立を軸とする新しい生き方を鮮烈にアピールする書であった。中村は幕末に派遣留学生の監督役としてイギリスに1年半、滞在。幕府が倒れて帰国する船中で、英国の友人からお別れに贈られた原著を熟読し、日本に戻ってすぐ刊行した。
現代の英国では、ほとんど忘れ去られているのに、日本では連綿として読み継がれ、中村訳『西国立志編』が講談社学術文庫から、竹内均氏訳『自助論』が三笠書房「知的生き方文庫」(内容を圧縮、卓抜な見出しをつけた)から刊行されている。
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